離婚協議書のはなし(その1)

弊事務所には、離婚協議書の案件がしばしば持ち込まれます。
今回のエントリーでは、行政書士と離婚協議書の関わりをご紹介します。

行政書士は、離婚する当事者の協議の内容を聴いて、その内容を文書化するのが仕事です。
弁護士さんと違って行政書士は妻または夫のどちらか一方の立場を代理することはできません。

例えば。

妻が一人で弊事務所にお越しになり「財産分与がこれだけしかないんです。これって少ないですよね?」とおっしゃられても、「ほんと。少ないですね。」とか「もっと取れますよ。」とはお答えできません。財産分与の額は、結婚後に二人で築いた財産の二分の一ですという一般論を述べさせていただいております。

養育費についても、裁判所が作成した養育費の目安の表をご覧になっていただいています。

現実に「もっと取ってやる」と息巻いていた方がいらっしゃいました。

しかし、冒頭で述べた通り、行政書士事務所は当事者の協議の内容を文書化する場所ですので、できれば当事者全員で協議の内容を淡々をお話いいただきたいと思います。

当事者が協議した内容をお伝えいただければ、行政書士は、文章を整序し、契約書の形式にて文書を作成いたします。

蛇足ですが、離婚協議の内容は、離婚給付契約です。契約だから契約書の形式にする訳です。

話しは変わります。
行政書士と離婚協議書の関わりで、特に分かりにくいのが、公正証書の離婚協議書であろうと思います。

離婚協議書の文案(または協議内容のメモ)を作成し、公証役場に持って行くと公証人が離婚協議書の公正証書を作成してくれます。
分かりにくいのは、公証人が公正証書の離婚協議書を作ってくれるのだから、行政書士は関与する場面がないのでは?という点であろうと思います。

実は、この文案作成と公証役場の手配をを行政書士に依頼することで手続きをスムーズに進めることができます。

弊事務所のお客さまで、ご夫婦で文案も何も持たずに公証役場に行ったら、まず行政書士のところへ行くように言われたという方がいらっしゃったこともあります。

このケースでは、弊事務所は、ご夫婦から協議の内容をヒアリングし、離婚にまつわる諸手続きをご案内しつつ、文案を作成して公証役場に取り次ぎをさせていただきました。

なお、離婚にまつわる諸手続きのご案内というのは、戸籍の話しであったり、離婚後の子どもの氏の話しであったり、多岐に渡ります。抜け漏れや誤解などは、適切に助言いたします。

まとめますが、行政書士と離婚協議書の関わりは、当事者の協議の内容を聴いて、その内容を文書化するところにあります。公正証書の離婚協議書の場合は、最終的な文書化は公証人が行いますが、その前段で行政書士が文案を作成することができます。また、お客さまに抜け漏れや誤解などがある場合には、適切に助言を行い、スムースな手続きに貢献しています。(次回エントリーに続く)

この記事を気に入っていただけましたら、シェアをお願いいたします。

NPO法人設立時の費用とメンバー集めの話し

(このエントリーは、以前別サイトに掲載していた2つのエントリーを統合して、再編集したものです)

まずNPO法人設立時の費用の話しです。

NPO法人の設立では、株式会社等とは違い、設立認証手数料と登録免許税が不要です。また、定款を紙で作っても印紙代は不要です。

法人代表者である理事長の印章作成に費用が発生するのは、株式会社など他の形態の法人と共通です。印章は激安店で6千円くらいから、一般的には2~3万円ではないかと思います。

他にも、意外なところに費用がかかります。

  • コピー代(紙代)・・・NPO法人の設立には賛同者が10人以上必要です。この10人以上の賛同者に向けて、設立総会の招集通知を送付するのですが、この印刷物が結構な量になりますので、コピー代(紙代)が意外とかかります。
  • 郵便代・・・同じく10人以上の賛同者に向けての、設立総会招集通知と出欠連絡のための郵便代金です。
  • 住民票代・・・役員になっていただく方の分です。最少の場合でも、4人分です。

NPO法人は賛同者を10人以上募る必要があります。人数が多いので、金額が嵩むわけです。

さて、NPO法人設立の費用には、大きな落とし穴があります。

それは、時間と労力そして交通費です。

千葉県の場合は、NPO法人の設立のための正式な書類を提出する前に、県庁に「事前相談」に行くことになっています。

書類に不備があるのに、いきなり正式なものとして書類を提出すると、NPO法人設立が不認証になってしまうので、「事前相談」に行くわけです。

この「事前相談」は、人によっては7~8回通う場合もあるそうです。交通費を使って何度も県庁に通い、時間と労力を使って何度も書類を修正しているのだろうと思います。

そういえば、私もクライアントのために県庁に事前相談の予約をした時に、県庁の職員の方から「何回目の相談ですか?」と聞かれた記憶があります。

次にNPO法人設立時のメンバー集めについてです。

前出の通り、賛同者を10人以上集める必要があります。

もともと10人以上が集まっている任意団体がNPO法人を設立する場合は問題になりにくいと思うのですが、有志に声をかけるところから始めると苦労する場合があるようです。

人数不足で苦労するのは容易に想像できると思いますが、意外にもメンバー候補が多い場合に「Aさんには声がかかったのに、Bさんには声がかからなかった」というような問題を起こさないための調整が発生したこともあります。

NPO法人では、社員の他にも、理事や監事という役員を誰に引き受けてもらうかという問題があります。法令で役員の中に含めることのできる親族の人数が制限されているので、人選で苦労する場合があります。実際に役員がなかなか決まらず、いつまでも設立総会を開催できなかった経験もあります。

この記事を気に入っていただけましたら、シェアをお願いいたします。

内容証明郵便こぼれ話

弊事務所にお問合せいただく案件で比較的多いのが、内容証明郵便の作成代行についてです。内容証明郵便については、こぼれ話がいくつかありますので、ご紹介します。

もっとも多いパターンから始めます。
お客さま曰く、弁護士さんに比べ行政書士は料金が安いから。
もう何度も言われています。「どうぞご利用くださいませ」と思うのですが、話を一通り聴いてみると、お断りせざるを得ないことになります。つまり、最初から弁護士さんの案件である訳です。お客さまも自分の案件が「弁護士さん案件」であることに気付いているからこそ、弁護士さんと行政書士を比較したのだと思います。

次いで多いパターンです。
電話を受けて「事務所に行きますから書いてください」となった時、「では具体的な日時を決めましょう」と私が言うと、お客さま曰く、行けるかどうか分かりません。
本当に内容証明郵便を作成するか否か迷いがあるのだろうと思います。それでもお困りの状況は理解できているので、一応具体的な日時を約束するのですが、この発言をされた方は100%事務所に来たことがありません。いつの頃からか、100%の記録が途切れないことを楽しみにしているくらいです。

少数派ですが、以下のようなものもあります。
お客さま曰く、他人の名前を差出人として内容証明郵便を書いてほしい。
これは刑法159条(私文書偽造等)に抵触するおそれがありますので、優しくお断りしています。事情を聴いてみると、理解できなくはない事情がある訳ですが、それでもお断りしています。

もう一つ少数派ですが、内容証明なんて言ってないで110番通報しなさいというような切迫したものもありました。

以上が「こぼれ話」です。具体的な案件の内容を紹介する訳にはいかないので、面白みには欠けていたかもしれません。

弊事務所に内容証明郵便の作成代行に関するお問合せをいただく場合は、書きたいことの要旨が決まってからお電話ください。文章は当方で整序して作文しますので、お客さまは一字一句考える必要はありません。また、書きたいことに関して事実関係のわかる書類等(たとえば契約書)があれば提示をお願いします。

この記事を気に入っていただけましたら、シェアをお願いいたします。

「餅は餅屋。許認可申請は行政書士。」という話し

お正月で、おいしいお餅を食べました。昔からのお米屋さんが年末に配達してくれるお餅です。さすがに「餅は餅屋」という感じです。

「餅は餅屋」というと、思い出すことがあります。私が自分自身の商標登録を、自力で出願したときのことです。

商標登録の出願は、弁理士さんの業務です。しかし、自分のことは、自分でやろうと思いました。

その時の顛末を紹介します。ご想像の通り、苦労に陥った話しです。

まず、どんな商標が欲しいのか?、指定役務は?、分類の数は?と検討します。これは自分のことですから、自然に決まります。

申請書作成ですが、これも、それ相応のものができました。商標の出願は自分のための1回だけなので、電子申請の仕組みを導入することなく、紙の申請書です。

紙の申請書には、特許印紙なるものを貼ります。特許印紙を買いに郵便局に行ったのですが、簡単には手に入りません。近所の郵便局で取扱いが無いのです。取扱いのある郵便局に問い合わせても「必要な金種の在庫があるか分かりません」との回答です。そんなこんなで、特許印紙を入手して、申請書を特許庁に郵送します。後日、電子化手数料なるもの納めました。

さて、本当の苦労というかショックは、この後です。

数か月後、特許庁から郵便が届きます。そこには拒絶査定と書かれています。「えっ~。ダメなの?」とショックを受けます。楽しみにしていた登録商標が手に入らなくなったと思いました。

しかし、届いた書類を何度も読み返すうちに、補正できることに気付きます。慎重に「何がダメだ」と言われているのか検討して、補正を提出しました。ここで、また電子化手数料が発生です。

しばらく経った後、今度は登録査定の郵便を受取ります。しかし、すぐには喜べない、むしろ不安になる記述がありました。職権訂正という文言です。補正しても、まだ申請内容に不備があり、特許庁の方が職権で修正してくださったということを理解し、やっと静かに喜ぶことができました。

あとは、10年分の登録料を支払い、登録証を受取って終了です。

以上が顛末です。

後から知った話しですが、一般の方が自力で商標出願して拒絶査定を受取ってしまうと、そこで諦めてしまう方が多いそうです。私自身、諦めかけたので、実感として分かります。これは、たいへんな心労になります。

また、補正をした分だけ、時間とお金が余計にかかってしまいました。

さて、このエントリのタイトルに戻って、「餅は餅屋」「商標登録は弁理士さん」、そして「許認可申請は行政書士」と結んで終わりにします。


写真は自力で取得した登録商標社外総務部長の登録証です。

この記事を気に入っていただけましたら、シェアをお願いいたします。

非営利とは、儲けないことではない|NPO法人と一般社団法人

あちらこちらのWebサイトに書かれていることではありますが、やはり誤解の多いのが「非営利」という言葉です。

「非営利」といえば、NPO法人(特定非営利活動法人)と一般社団法人が、弊事務所に持ち込まれるご相談テーマになっています。あと、少しですが、一般財団法人もあります。

NPO法人設立のご相談で、
活動してくれるスタッフに給料を払いたい。でも、稼いではいけないんでしょ?

非営利=無償ボランティア、と勘違いされている例です。

「非営利」とは、利益の分配をしないことです。株式会社であれば株主に支払う配当を、非営利では支払わない、という意味です。

したがって、前出の質問に対しては、
いえいえ。どんどん稼いで、スタッフに給料を払ってください。どんどん稼いで、御法人の事業を根付かせてください。
と答えています。

このことは、NPO法人だけでなく、一般社団法人でも同じです。

蛇足ですが、会社の社長さんで「ウチは非営利でやっている」という方に遭遇したことがあります。「儲けはソコソコにしている」という意味であることは分かりますが、法律的な意味では明らかな誤用です。

 

では、少し、NPO法人と一般社団法人の違いを紹介します。

NPO法人は、「特定非営利活動法人」というくらいで、法律で定められた(つまり、「特定」された)20の活動に該当する必要があります。また、ある程度の「公益性」も必要です。

一方、一般社団法人は、活動内容に何らの制限はありません。公益性も全く必要ありません。「社団」という言葉に「公益性」を感じ取ってしまう方もいらっしゃるようですが、普通の会社のような活動もできますし、限られたメンバーのための活動もできます。

設立にあたって必要なメンバーは、NPO法人では10人以上、一般社団では2人以上です。

設立にあたっての費用は、全て設立者ご自身で手続きする場合は、NPO法人ではゼロ円、一般社団法人では公証役場手数料5万円強+登録免許税6万円の合計11万円強です。この他、両者とも法人代表者の印章代が必要です。

設立までの期間は、NPO法人では4~6か月程度、一般社団法人では順調な場合で数週間です。

この記事を気に入っていただけましたら、シェアをお願いいたします。

少し変わった事業年度終了届(建設業許可)

建設業許可に関連して事業年度終了届は、毎年ごとに提出します。今回、少し変わった事業年度終了届を扱ったので、ご紹介します。

この事業年度終了届は、土木事務所に提出に行ったところ、窓口チェックに引っ掛かり、受け取ってもらえませんでした(一旦持ち帰り修正の後、再提出に行って受け取ってもらいました)。

さて、どのように変わっていたかというと。。。

建設業と他の事業を兼業していらっしゃる会社さんで、建設業の売上がゼロ円であった、という点です。

私は、添付資料のひとつである損益計算書において、建設業の売上がゼロ円であることから、その行を表示せず、兼業の売上のみを表示したのですが、このことが敗因(?)となってしまいました。売上原価や売上総利益についても同様です。

振り返ってみると、建設業許可を持っているのに建設業の売上がゼロ円という、私が知る限りイレギュラーな状況が、私にその行を削除させてしまったのだと思います。

自分でも不思議なのですが、私が作成した他の会社さんの事業年度終了届を見てみると、建設業の専業で、兼業がゼロ円の場合は、兼業ゼロ円の表示をしています。建設業を営んでいて兼業していないのだから、兼業はゼロ円で当たり前という気持ちがあったのだろうと思います。

今回の件で、建設業の売上がゼロ円の場合、損益計算書において、建設業の売上・売上原価・売上総利益はゼロ円表示が必要、と覚えました。もうひとつ、勝手な思い込みは怖い、と再認識しました。

この記事を気に入っていただけましたら、シェアをお願いいたします。

「株主総会」の話し

弊事務所のお客さまの中に株主総会を開催していない株式会社さんを見つけました。某許認可の手続きをするにあたって、株主総会を開催していれば存在するはずの文書が無かったのがキッカケです。

この株式会社さん曰く、
ウチみたいな「家族で株主・家族で経営」の会社でも株主総会が必要なの?

株式会社である以上、株主総会は必要です。

この会社さんには、よく説明をしておきましたので、株主総会を開催していただけるものと思います。

 

さて、そんなことがありましたので、株主総会について簡単に紹介しておこうと思います。

ここに書くことは、家族だけの株式会社や一人でやっている株式会社など、小規模な株式会社を想定しています。

株式会社の定款に「株主総会を招集する」旨の記述があると思います。定款は会社設立手続きに必要なものですが、「あればいい」というものではありません。定款はその会社の基本的なルールを定めた文書ですから、そこに書かれていることは実行するようにお願いいたします。

手順は、以下の通りです。

まず、事業年度が終了したら決算作業をして、「計算書類」と「事業報告」を作成します。併せて、株主総会で決議したいことを決めます。

次に、実際に株主総会を開催します。特に決議したいことがなくても、やらなければならないことがあります。前出の「事業報告」の内容を株主総会の場で報告し、同じく「計算書類」を株主総会に承認してもらうことです。

最後に、議事録を作成して、保管してください。これで終わりです。

 

家族だけで株主総会というと、何だか気恥ずかしい感じがするかもしれません。
「今年1年、こんな感じで活動したけど。。。」・・・(事業報告の内容の報告)
「決算もこれでいいよね???」
「うん、いいんじゃない。」・・・(計算書類の承認)
といった感じで10分で終わりで結構です。

あとは、議事録に「事業報告を議場に提出し、その内容を報告した」「計算書類を議場に提出し(中略)出席株主は満場異議なくこれを承認した」などと書いて、保存すればOKです。

※議事録に記載すべき項目は、法令等で決まっていますので、ご注意ください。

一人でやっている株式会社の場合は、ココロの中で株主総会を開催して、家族だけの株式会社と同じく議事録を書いて保存してください。

議事録についても、定款に「議事録を作成する」旨の記述があるのが一般的だと思います。定款に記載してあることは、しっかりと実行するようお願いいたします。

この記事を気に入っていただけましたら、シェアをお願いいたします。

「規程」の話し

立て続けに複数のお客さまと話しをすることになった「規程」について紹介します。
※「規定」ではなく、「規程」です。

このお客さま方は会社等の代表者で、組織のルールについて話していたときに規程という言葉が出てきました。そして、この規程という言葉には、あまり馴染みがないようでした。

かく言う私も、規程という言葉には馴染みのないクチでした。私も行政書士を始める前は会社員でしたが、20年以上の現場の後に管理部門に異動して、やっと規程の存在を正しく認識した、というのが正直なところです。
新入社員のときに、会社からは「会社には規程というものがあって、申し出れば閲覧できる」と説明を受けたらしいのですが、そのような説明をその当時に正しく認識したかも不明ですし、そのような説明を聞いたことも憶えていません。

さて規程とは何かということですが、平たく言えば「業務運営のルールブック」のことです。

私は前出のお客さま方には、次のように話しました。
国家には国家運営のルールとして、憲法があり、その下に種々の法律があって、更にその下に各法律を実施するための命令や規則等がある。
民間の会社等でも同じく、業務運営のためのルールが必要で、法人設立の時に作成した定款が最上位のルールで、その下に種々のルールを作成し、更にその下に各ルールを実施するための細かいルールを作る。これらのルールを文書化したものを「規程」という。

会社等には、いろいろな人が集まります。いろいろな人がいるから、ルールブックを作り、みんに周知をして、社内を治めます。これが規程の効用です。

しかし、想像ですが、小さな会社等では規程はほとんど存在していないと思います。社長が「俺がルールブックだぁぁ!!」と言えば済む、といったところでしょうか。

規程には、もう一つの効用があります。業務の手順書あるいはチェックリストとしての効用です。

たとえば、今年の5月30日施行の「小規模事業者にも適用」になった改正個人情報保護法。ウェブページでよく見かける「プライバシーポリシー」「個人情報保護指針」などですが、そこには「個人情報の適正な取扱いを行います」の旨の記述があります。その具体的な「取扱い」方法を規程にしておいて、その規程に書いてある通りに実施するのです。

規程として文書化しておけば、取扱いの度にどのようにすればよいのか迷うことはありません。

この記事を気に入っていただけましたら、シェアをお願いいたします。