契約書を作成することの効用の話し

皆さんは、契約書を作成することの効用をどう思われますか?

小さな会社の社長さんが、取引先から契約書を取り交わすことを迫られ、弊所に相談にいらした時のことです。
社長さん曰く「契約書なんてコスト(時間・手間・お金)が発生するだけで、売上のプラスになりゃしない。プンプン(怒)」。

話しを聞いていくと、この契約書は役務提供の基本契約書で、年間の売上は数万円程度の見込みなのだそうです。
費用と効果の関係を考えれば、社長さんの怒りも理解できる気がします。
「コスト憎し」で怒っていますが、取引先との良好で円満な関係維持のため、大人な態度で相談は続きます。

さて、一般に言われていることですが、契約は口頭で成立し、契約書は口頭で交わした契約を書面に記録したものです。
商店で100円の商品を売るのに、商店と買い手の間で契約書を作成することは、さすがにないと思います。
その一方で、やはり「これは契約書が必要だろう」という契約はあります。

私見ではありますが、小規模な事業者さんは、売上・利益に直接の影響のある事業運営に注力していて、コストとなる契約書の作成には興味のない方が多いように思います。

契約書の作成に興味のない方に向けて、契約書を作成しておくことの効用を記します(一般的に言われていることに私の実感を交えています)。

  • 契約書という書面が残っていることにより、以下のようなことが防止できる。
    • 「言った。言わない。」
    • 後日の記憶違い
    • 少し変わったケースでは、スタンドプレー気味の営業担当者が退職してしまって、契約の詳細が経営者にも分からない。
  • 想定される揉め事がある場合には、契約書の案文を契約当事者の双方で確認しあう中で、どのように決着するか予め決めておくことになる。つまり、将来本当に揉め事の原因となる事象が発生してしまっても、ケンカ(=裁判沙汰)をせず、スマートに事態を収拾できる。
  • 契約書という書面が残ることにより、客観性が確保できる。客観性とは、裁判になったときに、裁判所が見るということです。私自身は裁判沙汰の経験はありませんが、某行政庁に私自身が当事者である契約書のコピーを提出して、客観性に助けられた経験があります。

このように、売上や利益に直結することはなくても、契約書はトラブルを防止し、皆さん自身を守る効用があります。

この記事をお読みいただいたのを機に、契約書を作成することに興味を持っていただけたら、と思います。

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「規程」の話し

立て続けに複数のお客さまと話しをすることになった「規程」について紹介します。
※「規定」ではなく、「規程」です。

このお客さま方は会社等の代表者で、組織のルールについて話していたときに規程という言葉が出てきました。そして、この規程という言葉には、あまり馴染みがないようでした。

かく言う私も、規程という言葉には馴染みのないクチでした。私も行政書士を始める前は会社員でしたが、20年以上の現場の後に管理部門に異動して、やっと規程の存在を正しく認識した、というのが正直なところです。
新入社員のときに、会社からは「会社には規程というものがあって、申し出れば閲覧できる」と説明を受けたらしいのですが、そのような説明をその当時に正しく認識したかも不明ですし、そのような説明を聞いたことも憶えていません。

さて規程とは何かということですが、平たく言えば「業務運営のルールブック」のことです。

私は前出のお客さま方には、次のように話しました。
国家には国家運営のルールとして、憲法があり、その下に種々の法律があって、更にその下に各法律を実施するための命令や規則等がある。
民間の会社等でも同じく、業務運営のためのルールが必要で、法人設立の時に作成した定款が最上位のルールで、その下に種々のルールを作成し、更にその下に各ルールを実施するための細かいルールを作る。これらのルールを文書化したものを「規程」という。

会社等には、いろいろな人が集まります。いろいろな人がいるから、ルールブックを作り、みんに周知をして、社内を治めます。これが規程の効用です。

しかし、想像ですが、小さな会社等では規程はほとんど存在していないと思います。社長が「俺がルールブックだぁぁ!!」と言えば済む、といったところでしょうか。

規程には、もう一つの効用があります。業務の手順書あるいはチェックリストとしての効用です。

たとえば、今年の5月30日施行の「小規模事業者にも適用」になった改正個人情報保護法。ウェブページでよく見かける「プライバシーポリシー」「個人情報保護指針」などですが、そこには「個人情報の適正な取扱いを行います」の旨の記述があります。その具体的な「取扱い」方法を規程にしておいて、その規程に書いてある通りに実施するのです。

規程として文書化しておけば、取扱いの度にどのようにすればよいのか迷うことはありません。

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