建設業法の改正の話し|経営管理者の要件緩和など

令和元年6月12日、建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律が公布されました(官報号外第33号・法律第30号)。施行は公布の日から1年6か月以内(技術検定関係等の一部は2年以内)ですので、未だ施行されていません。

建設業法と入契法の2つ法律の改正ですが、ポイントは3つです。

  1. 建設業の働き方改革の促進
  2. 建設現場の生産性の向上
  3. 持続可能な事業環境の確保

これらの改正が行われるのは、長時間労働が常態化している、現場の人材に限りがある、後継者難で建設業者が減少している、といった背景があります。

弊所は行政書士ですから、今回の改正を建設業法の「建設業許可」に注目して見てみます。

経営管理者の要件緩和

現在は過去5年以上の経営管理業務の経験が必要であるが、今後は経営管理を適正に行う能力を有していればOKとなる。つまり、能力さえあれば、5年を待たなくて良い。

事業承継がスムースに

事業譲渡・合併分割では事前に、相続では被相続人の死亡後に、それぞれ認可を受けることでスムースな事業承継ができる。

※現在は、親が建設業許可を有する個人事業主で、子が親のもとで働いていた場合、親が死亡すると建設業許可を手放す(廃業届を提出する・法第12条1号)しかありません。子は、改めて自分の名で建設業許可を取り直すことになります。

元請の監理管理技術者の兼任容認

元請が置くべき専任の監理技術者に、専任の補佐がついている場合は、監理技術者は複数現場の兼任が容認される。

下請の主任技術者の設置不要化

一定未満の工事金額などの条件を満たす場合に限られるが、元請の置く主任技術者が、下請が置くべき主任技術者の職務も兼任してくれる場合は、下請は主任技術者を置かなくてOKとなる。なお、更なる下請契約は禁止となる模様。

下請の標識掲示の不要化

現在は工事現場には建設業の許可業者である旨の標識を掲げる義務があるが、今後は下請の標識掲示義務がなくなる。

社会保険への加入徹底

社会保険に未加入の場合は、建設業の新規許可・更新許可が認められなくなる(法の条文には見つけられないのですが、おそらく政省令で仕組みを作るのだと思います)。

※現在は、社会保険未加入でも、一旦は新規許可が出ます。新規許可が出た後、社会保険に加入するように指導があり、その指導に従うことになります。

 

建設業許可の視点から見ると、だいたい以上だと思います。今後、政省令が整備され、もっと詳細なことが分かると思います。繰り返しになりますが、この改正は未だ施行されていませんので、お間違えのないようにお願いします。

最後にいつもの宣伝ですが、建設業許可申請手続きは、弊所にお任せください。

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登録解体工事講習の話

建設業許可における業種として、平成28年6月から解体工事業が追加されたことは、建設業の皆様の間で比較的知られていることだと思います。

ここで、解体工事業の専任技術者に平成27年までに合格の以下のいずれかの資格者を充てる(充てている)場合は、「解体工事に関する実務経験1年以上」または「登録解体工事講習の受講」が必要とされています。

  • 1級土木施工管理技士
  • 1級建築施工管理技士
  • 2級土木施工管理技士(土木)
  • 2級建築施工管理技士(建築または躯体)

期限もあります。「解体工事に関する実務経験1年以上」または「登録解体工事講習の受講」を証明し、有資格区分の変更届を令和3年3月31日までに提出する必要があります。

タイトルになっている「登録解体工事講習」について紹介します。

現在は、2つの機関が講習を実施しています。以下のURLは、国土交通省です。
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk1_000126.html

講習開催の案内です。

詳しいことは分かりませんが、いずれの機関も講習は1日で終了(4時間強程度)のようです。

繰り返しになりますが、「講習を受けたから安心」とはなりません。講習を受けて、その旨の「変更届」を提出して完了です。この変更届を提出しないと、令和3年3月31日以降に解体工事業許可を失いますから、注意が必要です。

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ここから先は、同業の行政書士の先生向けの話です。

上述の話に関連して、平成27年までに取得した1級建築施工管理技士の資格者を専任技術者に充て、解体工事業を含む複数の業種の許可申請をしようとしました。

その際、専任技術者証明書(様式第八号)の有資格区分(65)に「2A」つまり「1級建築施工管理技士(附則第4条該当」)を記載したところ、ある土木事務所窓口において「2A」「20」を併記するよう補正がありました。

詳しくは分かりませんが、「2A」は解体工事業のみに使用するコードということなのかもしれません。また、ローカルルールも存在するでしょうから、何とも言えないのですが、一応同業者様向けにご紹介しました。

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下請けにおける建築一式工事・土木一式工事の話し(建設業許可)

建設会社を設立して数年の社長さんから「業績が好調で、500万円以上の請負も発生しそうだから、建設業許可を取りたい」との相談がありました。

欲しい許可業種は専門工事のうちの一つですが、「専任技術者を用意できるので、建築一式工事も欲しい」とのご希望です。専任技術者以外の許可要件も全てクリアできている様子です。

もちろん行政書士としては、よろこんで建設業許可の申請代理を承ります。

ただし、一つ注意があります。

この会社さんは、基本的には下請けのポジションで営業しているそうです。たまに一般家庭から家屋の修理依頼が直接的にあるそうですが、請負金額としては少額です。

建築一式工事(土木一式工事も)は、元請けとして請け負うための業種です。つまり、下請けのポジションである場合は、建築一式工事の許可を受けても「原則的に」使い道がありません。

「原則的に」ということは、例外があるのですが、通常は使い道がないと考えます。

とは言うものの、建築一式工事の許可を受けていることは、対外的なイメージの向上につながります。許可要件を満たせるなら、専門工事と併せて建築一式工事(土木一式工事)の取得をお勧めします。

別の会社さんの例です。

建築一式工事の許可を受けてウン十年の会社さんから、事業年度終了届の依頼を受けたときのことです。

ウン十年前の状況は分かりませんが、依頼を受けた時点では下請けのポジションで営業していました。

私がうっかりしていたのですが、工事実績として、下請け工事を建築一式工事のページに記載しました。

その結果、事業年度終了届の提出先である土木事務所で指導を受けました。曰く、原則的に「一式工事に下請けは無い」

以上、下請けにおける建築一式工事(土木一式工事)の話しでした。

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少し変わった事業年度終了届(建設業許可)

建設業許可に関連して事業年度終了届は、毎年ごとに提出します。今回、少し変わった事業年度終了届を扱ったので、ご紹介します。

この事業年度終了届は、土木事務所に提出に行ったところ、窓口チェックに引っ掛かり、受け取ってもらえませんでした(一旦持ち帰り修正の後、再提出に行って受け取ってもらいました)。

さて、どのように変わっていたかというと。。。

建設業と他の事業を兼業していらっしゃる会社さんで、建設業の売上がゼロ円であった、という点です。

私は、添付資料のひとつである損益計算書において、建設業の売上がゼロ円であることから、その行を表示せず、兼業の売上のみを表示したのですが、このことが敗因(?)となってしまいました。売上原価や売上総利益についても同様です。

振り返ってみると、建設業許可を持っているのに建設業の売上がゼロ円という、私が知る限りイレギュラーな状況が、私にその行を削除させてしまったのだと思います。

自分でも不思議なのですが、私が作成した他の会社さんの事業年度終了届を見てみると、建設業の専業で、兼業がゼロ円の場合は、兼業ゼロ円の表示をしています。建設業を営んでいて兼業していないのだから、兼業はゼロ円で当たり前という気持ちがあったのだろうと思います。

今回の件で、建設業の売上がゼロ円の場合、損益計算書において、建設業の売上・売上原価・売上総利益はゼロ円表示が必要、と覚えました。もうひとつ、勝手な思い込みは怖い、と再認識しました。

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