法令等の調査3点セットの話し|新規事業立ち上げの役に役立つかも・・・

1.私の利用する法令集

私は行政書士ですから、法令集は時々利用します。
メインで使用する法令集は、e-Gov法令検索です。

紙の本で判例付きの分厚い六法も持っていますが、ほぼ開くことはありません。この本は、憲法・民法・刑法・会社法などが中心で、私に必要な建設業法とか風俗営業法などといった「××業法」は、ほぼ掲載されていないからです。

そういった訳で、私のメインの法令集はe-Gov法令検索です。

ちなみに、風営法に関しては、紙の本で大成出版社の「風営適正化法法令基準集」がお気に入りです(3段対照式なので、とても便利です)。また、警察に関係する法令集は、やはり紙の本で東京法令出版の「警察官実務六法」だったりします。

それ以外は、ほぼe-Gov法令検索です。e-Gov法令検索は、キーワード検索もできます。

2.法令等の調査の3点セット

法令等を調べるにあたって、条文を逐一丁寧に読んでいくことは当然ですが、その一方で法令等全体を俯瞰的に、あるいは機械的に調べたいこともあります。

私の場合は、e-Gov法令検索に加えて、法令等を調べるための3点セットがあります。

  • 法令API
  • 正規表現
  • テキストエディタ

法令APIを用いれば、ブラウザで見ている条文をxml形式で自分のパソコンに取り込むことができます。そして、パソコンに取り込んだxml形式の条文を正規表現を用いて自分の見たいように編集し、テキストエディタで眺めるのです。

正規表現はあまり馴染みのない言葉かもしれません。「正規表現」といわれる表現方法で、文字列のパターンを抽出することができる優れた仕組みです。

e-Gov法令検索は国の法令が収録されていますが、都道府県・市町村の条例を調べたければ、法令APIこそありませんが、インターネット上の例規集から条文をパソコンに取り込み、正規表現で加工して、テキストエディタで眺めます。

3.こんなことをして何の役に立つのか?

普通は、条文を一条ずつ丁寧に読みます。もちろん、各法令等の目次を参考にして、目的の条文に到達することもします。

でも、そのような読み方は、「この法律にこのようなことが書いてある」と知っていて、その内容を確認するための読み方であろうと思います。

有るか無いか未知の法令等に対して、検索キーワードの見当もつかない法令等に対しては、通用しにくい読み方だろうと思います。こういう場合は、パソコンのパワーを用いて、機械的にゴッソリと処理するのが得策だと思います。

たとえば、タイトルの「新規事業立ち上げの役にも立つかも・・・」ですが、何か新しいアイディアのビジネスを考えついたかもしれない場面で、あらゆる法令等をゴッソリと機械処理をして、その処理結果を眺めることで、そのアイディアに法令等の規制が有るのか無いのかなど、分かってくることがあるのではないかと思います。

4.ちょっと実例を

法令APIを使用する実例をご紹介します。
ひとつの例として、現在有効な国の憲法・法律・政令・勅令・府令・省令・規則の件数を調べてみます。

WEBブラウザで新しいタブを開いて、アドレスバーに「https://elaws.e-gov.go.jp/api/1/lawlists/1」と入力してエンターキーを押してみます。
xml形式で、法令名称・法令番号・公布年月日が表示されます。
表示された内容を「名前を付けてファイルに保存」等で、パソコンに取り込みます。
取り込んだファイルを「<LawName>」という文字列でgrep(指定された文字列を含む行を抽出するコマンド)してみると、現在有効な国の憲法・法律・政令・勅令・府令・省令・規則の件数は、8,452件と分かります。
ちなみに、この8,452件のリストですが、下10行のうち7行が「新型コロナウイルス」に関する法令でした。

5.宣伝です

最後に宣伝ですが、新規事業をお考えの方は、会社設立・許認可取得・取引先との契約に関すること・ビジネスのアイディアに関することなど、弊所にご相談ください。何かお役に立てるかもしれません。遠隔地の方でもWEB会議でお話しできます。まずは、無料メール相談フォームでご連絡ください。

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個人名で取った許可は、その人が社長であっても会社の許可ではない、という話し

結構しばしばある間違いに、社長個人名義と会社(法人)名義を同一視している、というのがあります。

たとえば、こんな会話です。

個人事業のお客様:建設業許可が取れたら、さらなる飛躍のために会社(法人)を設立することを考えています。

私:でしたら建設業許可を取る前に会社設立をしましょう。

個人事業のお客様:えっ!?とりあえず建設業許可が欲しいです。建設業許可さえあれば、直ぐにでも大きい仕事を受注できそうだからです。

このブログをお読みいただいている方に、状況を少し説明します。

このお客様は個人事業で建設業を営んでいて、個人事業主としての個人の名前で建設業許可を申請しようとしています。建設業許可が取れれば業績も伸びるだろうから、許可を取った後は個人事業を止めて、法人として大きくやりたい、と言い出した場面です。

会話は続きます。

私:法人で建設業許可を取り直す必要があります。

お客様:ん?私が今許可を取って、私が社長になります。ダメなのでしょうか?

タイトルにあるとおり個人名で取った許可は、その人が社長であっても会社の許可ではないのです。個人事業主が個人の名前で取得した許可は個人事業主のものであり、その個人事業主が設立した法人であるからといって、法人が許可を持っていることにはなりません。法人は法人の名前で建設業許可を取り直す必要があります。

同じパターンですが、もう一つ紹介します。

風俗営業を営むお客様です。

開業して暫くは個人事業主として頑張って、経営が軌道に乗ったら法人化する計画が当初からあったそうです。このことは税理士さんにも相談してあり「法人成り」という説明を受けていたようです。

私:法人で風俗営業許可を取り直す必要があります。

お客様:えっ!?許可を取り直す間、営業できないじゃない!!

個人事業主名義の風俗営業許可は、あくまでも個人事業主のものであり、この個人事業主が設立した法人であっても、その法人が風俗営業許可を持っていることにはなりません。

このような間違いを防ぐために、許可・届出・登録などが必要な業種の方は、税理士さんや経営コンサルタントさんに相談に行く前か、または同時に、行政書士にもご相談ください。行政書士に相談していなかったために、上述の許可名義の問題以外にも、いろいろな問題が発生しています。

お客様が同業の仲間同士で許可・届出・登録について情報交換している場合もありますが、一般論としては正しい情報でも、個別の事情を抱えるお客様に適合する情報である保証はありません。ぜひ、行政書士にご相談ください。

最後になりますが、許可に関することで、ある経営者さんが私に向かって呟きました。

俺、スタートから間違ってたのかぁ。はぁ~(ため息)。

今回は以上です。

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ワクワクする気持ちの会社設立の話

私は行政書士ですから、法人を設立しようとする方に代わって定款を作成するサービスを提供しています。定款の認証が必要な場合は、その手続きも代行します。その後は司法書士さんに手続きを引き継ぎます。

また、私は、法人そのものについて説明したり、法人の設立手続きについて説明したりもします。

そんな中「会社を設立したいから、話を聞いてほしい」というお客様から電話がかかってきました。

会ってみると、このお客さまは、ご自身のビジネスプランについて嬉嬉として語り始めました。

曰く「ワクワクする気持ちです」。

お客さまが楽しそうなので、ずっと話を聞いていましたが、私としては会社設立の手続きについて説明をしなければなりません。

何故なら面談の冒頭で「会社を設立したいから、その手続きをしてほしい」とお客さまが発言していたからです。しかし、会社設立の手続きの話はさせてもらえません。

それどころか、このお客さまは私に向かって「この商品の売値って、いくらがいいと思いますか?」などと質問を始めました。

私の内心は「会社設立の手続きについて相談または依頼に来たのではないのか!?」と混乱気味になっています。

それでも私は「商品の仕入値、商品加工の人件費、販売の人件費、事務所家賃、通信費、水道光熱費、広告宣伝費、その他諸々の支出を積み上げて、更に会社が希望する利益を上乗せして、その合計額を予定の販売数で割ってください」などと答えました。

よくよく話をしてみると、このお客さまは、特にご自身の人件費について意識が薄いようでした。

このお客さま自身が社長になろうとしているのですが、「社長が自ら働けば人件費は払う必要がない」などと発言しています。私は、社長自身に収入がなければ生活できないことを指摘しました。

たしかに、事業が軌道に乗るまでは社長の報酬・給与をゼロにすることはあります。このお客さまは、自らの貯金を資本金として会社に出資してしまう訳ですが、事業が軌道に乗るまでの間を無収入にした場合、生活費が手元に残っているのかと尋ねると、「残っていない」といいます。

そんなこんなで、社長自身の希望収入も含め、予定の原価計算をすることを勧めました。需要の問題もあるし、売値の値ごろ感の問題などもありますが、売値を決めるために先ずは原価計算が必要である旨を指摘して面談を終わりました。

結局、会社設立の手続きについては、話はしていません。

まとめます。

このお客さまのように、新しいことを始めるには「ワクワクする気持ち」は重要だと思います。

その一方で計算も必要だと思います。

このブログをお読みの方で「会社をやりたいけれど、計算は苦手」という方は、弊所にご相談ください。きっと、お客さまのお力になれると思います。

会社設立の手続きとは別料金ですが、弊所ではご相談に応じます。

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NPO法人の事業報告等提出の話し

NPO法人においては、事業年度が終了したら3ヶ月以内に事業報告書等を所轄庁に提出することになっています。

そして、ほとんどのNPO法人では、事業報告等を提出していると思います。

ところで、事業報告等を作成・提出するプロセスは、どうなっていますか?

ただただ所轄庁に書類を出せばいいと思って、最終的な書類を表面的に作成して、そのまま提出していませんか?

このエントリーでは、事業報告等を作成・提出するためのプロセスをご紹介いたします。各法人によって事情が異なる場合があると思いますが、弊所でご案内するプロセスは、以下の通りです。

  1. 事業年度末を迎える
  2. 決算処理をする
  3. 事業報告書・決算(活動計算書・貸借対象表・財産目録(できれば注記表も))の案を作成する
  4. 監事が会計監査・業務執行監査を行う
  5. 総会で決議する議案書・総会資料を作成する(議案には、事業報告承認の件、会計報告(監査報告)承認の件を含めること)
  6. 総会を召集する
  7. 総会当日、議案書に従い決議を行い、議事録を作成する
  8. 所轄庁に事業報告書・活動計算書・貸借対象表・財産目録・その他名簿等の必要書類を提出する(存在していれば注記表も提出する)

ポイントとしては、所轄庁に提出する事業報告等は

  • 決算(会計)が、監事による監査を受けていること
  • 事業報告と決算(会計)が、総会で承認を受けていること

です。

定款には、次の2つ規定があると思います。

  • 監事が監査すること
  • 総会で「事業報告及び決算」を決議すること

したがって、前出プロセスの項3で「案」を作成して、監査と総会を経て「確定」させ、その後に確定した内容を所轄庁に提出するのです。

でも、ですね。。。実際には、監査と総会を経ない「未確定」な事業報告等を提出している場合があるようなのです。

所轄庁への事業報告等の提出は、事業年度末の3ヶ月後です。事業年度末を迎えて、税理士さんが決算と税務手続きをして、決算数値が1ヶ月半後にNPO法人に届くとして、まだ1ヶ月半が残っています。監査をして総会召集通知を郵送して、総会を開催しても十分に提出期限に間に合います。

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NPO法人設立時の費用とメンバー集めの話し

(このエントリーは、以前別サイトに掲載していた2つのエントリーを統合して、再編集したものです)

まずNPO法人設立時の費用の話しです。

NPO法人の設立では、株式会社等とは違い、設立認証手数料と登録免許税が不要です。また、定款を紙で作っても印紙代は不要です。

法人代表者である理事長の印章作成に費用が発生するのは、株式会社など他の形態の法人と共通です。印章は激安店で6千円くらいから、一般的には2~3万円ではないかと思います。

他にも、意外なところに費用がかかります。

  • コピー代(紙代)・・・NPO法人の設立には賛同者が10人以上必要です。この10人以上の賛同者に向けて、設立総会の招集通知を送付するのですが、この印刷物が結構な量になりますので、コピー代(紙代)が意外とかかります。
  • 郵便代・・・同じく10人以上の賛同者に向けての、設立総会招集通知と出欠連絡のための郵便代金です。
  • 住民票代・・・役員になっていただく方の分です。最少の場合でも、4人分です。

NPO法人は賛同者を10人以上募る必要があります。人数が多いので、金額が嵩むわけです。

さて、NPO法人設立の費用には、大きな落とし穴があります。

それは、時間と労力そして交通費です。

千葉県の場合は、NPO法人の設立のための正式な書類を提出する前に、県庁に「事前相談」に行くことになっています。

書類に不備があるのに、いきなり正式なものとして書類を提出すると、NPO法人設立が不認証になってしまうので、「事前相談」に行くわけです。

この「事前相談」は、人によっては7~8回通う場合もあるそうです。交通費を使って何度も県庁に通い、時間と労力を使って何度も書類を修正しているのだろうと思います。

そういえば、私もクライアントのために県庁に事前相談の予約をした時に、県庁の職員の方から「何回目の相談ですか?」と聞かれた記憶があります。

次にNPO法人設立時のメンバー集めについてです。

前出の通り、賛同者を10人以上集める必要があります。

もともと10人以上が集まっている任意団体がNPO法人を設立する場合は問題になりにくいと思うのですが、有志に声をかけるところから始めると苦労する場合があるようです。

人数不足で苦労するのは容易に想像できると思いますが、意外にもメンバー候補が多い場合に「Aさんには声がかかったのに、Bさんには声がかからなかった」というような問題を起こさないための調整が発生したこともあります。

NPO法人では、社員の他にも、理事や監事という役員を誰に引き受けてもらうかという問題があります。法令で役員の中に含めることのできる親族の人数が制限されているので、人選で苦労する場合があります。実際に役員がなかなか決まらず、いつまでも設立総会を開催できなかった経験もあります。

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非営利とは、儲けないことではない|NPO法人と一般社団法人

あちらこちらのWebサイトに書かれていることではありますが、やはり誤解の多いのが「非営利」という言葉です。

「非営利」といえば、NPO法人(特定非営利活動法人)と一般社団法人が、弊事務所に持ち込まれるご相談テーマになっています。あと、少しですが、一般財団法人もあります。

NPO法人設立のご相談で、
活動してくれるスタッフに給料を払いたい。でも、稼いではいけないんでしょ?

非営利=無償ボランティア、と勘違いされている例です。

「非営利」とは、利益の分配をしないことです。株式会社であれば株主に支払う配当を、非営利では支払わない、という意味です。

したがって、前出の質問に対しては、
いえいえ。どんどん稼いで、スタッフに給料を払ってください。どんどん稼いで、御法人の事業を根付かせてください。
と答えています。

このことは、NPO法人だけでなく、一般社団法人でも同じです。

蛇足ですが、会社の社長さんで「ウチは非営利でやっている」という方に遭遇したことがあります。「儲けはソコソコにしている」という意味であることは分かりますが、法律的な意味では明らかな誤用です。

 

では、少し、NPO法人と一般社団法人の違いを紹介します。

NPO法人は、「特定非営利活動法人」というくらいで、法律で定められた(つまり、「特定」された)20の活動に該当する必要があります。また、ある程度の「公益性」も必要です。

一方、一般社団法人は、活動内容に何らの制限はありません。公益性も全く必要ありません。「社団」という言葉に「公益性」を感じ取ってしまう方もいらっしゃるようですが、普通の会社のような活動もできますし、限られたメンバーのための活動もできます。

設立にあたって必要なメンバーは、NPO法人では10人以上、一般社団では2人以上です。

設立にあたっての費用は、全て設立者ご自身で手続きする場合は、NPO法人ではゼロ円、一般社団法人では公証役場手数料5万円強+登録免許税6万円の合計11万円強です。この他、両者とも法人代表者の印章代が必要です。

設立までの期間は、NPO法人では4~6か月程度、一般社団法人では順調な場合で数週間です。

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