思い込みは失敗のもと、という話し(消防法)

ちょうどゴールデンウィークなので、お気楽な話題を書いてみようと思います。失敗談といえば、失敗談です。実害は出していませんので、ご安心を。

弊所は行政書士事務所としては、比較的消防法令等に強い事務所ではないかと思います。
お客様の建物の中で消防設備を観察することもありますし、消防署で手続きをすることもあります。
事務所の本棚には、こんな本があったりもします。
消防関係の書籍

そんな中で思い込みによる誤った理解をしていた条文がありました。

消防法第11条
製造所、貯蔵所又は取扱所を設置しようとする者は、(中略)許可を受けなければならない。(後略)

さて、ここで言っている「許可」は、何時受けるべき許可でしょうか?

この条文を正しく知っている方や知らなくても日本語を正確に理解できる方は、何のことやら不思議に思われるかもしれません。

でも、弊所は間違えました。
製造所、貯蔵所又は取扱所(以下「製造所等)と記します)を設置し、使えるようになってから、使うことの可否について「許可を受ける」ものだと思っていました。

たとえば、飲食店の営業許可なら、飲食店の施設を用意して、その施設を検査してもらって、許可を受けます。
この流れが染み付いていますので、製造所等でも設置した後に許可を受けるものだと思い込んだ訳です。

その後、「完成検査」「完成検査前検査」「仮使用」などの言葉から、前後関係が何やらオカシイと気付き、正しい理解に至りました。

日本語もよく読めば「設置しようとする者は」と書いてあるので、設置しようとした時点で許可を受けなければならないと、最初から正しく理解できたはずなのでした。

全ては思い込みが原因であり、恐ろしいことです。

一応、正しい流れを記します。

  1. 製造所等の設置工事を計画する
  2. 許可申請し、許可を受ける
  3. 設置工事に着手する
  4. 必要な場合は、完成検査前検査を申請し、完成検査前検査を受ける
  5. 工事が終了する
  6. 完成検査を申請する
  7. 完成検査を受ける(完成検査済証の交付を受ける)
  8. 製造所等の使用を開始する

製造所等を設置しようとする場合の許可の申請先は、消防署ではなくて、市町村長(消防が設置されていない市町村では、都道府県知事)です。

最後に蛇足的ではありますが、前掲の写真の「消防・建築法規のドッキング講座」という本は、なかなか面白いです。
消防法規と建築法規の関係性が分かります。
行政書士として許認可モノの業務でお客様の建物を見る時や消防職員の方と話しをする時などに、読んでおくと助かるかもしれない一冊です。

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防火対象物使用開始(変更)届出は、けっこう神経を使います、という話し

飲食店営業の許可申請手続きに付随して、防火対象物使用開始(変更)届出という手続きをすることがあるのですが、年末でもあり防火に関する話題も良いだろうと思いまして、標題の通りのテーマについて書いてみます。特段に堅い話しでもなくて、こぼれ話的な内容になります。

防火対象物使用開始(変更)届出は、市町村等の条例で定められた手続きです。書類の書き方は、知っていれば、そう難しいものでもありません。書類の書き方を知らなくても、ビル所有者様が過去に提出した防火対象物使用開始(変更)届出の副本を見せてもらえば、真似をして書類を作ることができます。しかし、書類そのものは簡単でも、その前後に神経を使う場面があり、一言で「簡単」と片付けられない性格の手続きになっています。

私の実体験を少し紹介します。私としては、こぼれ話として捉えていますので、軽く読み流してください。

  • ビルの一部分にテナントとして入居した飲食店経営者様のために、消防署に防火対象物使用開始(変更)届出書を提出に行ったところ、そのビルの消防用設備等の定期点検報告書が長期間に渡って提出されておらず、それが論点となってしまい、防火対象物使用開始(変更)届出書の提出にたどり着くのに難儀してしまった。【消防用設備等の定期点検】
  • 絨毯に防炎タグが付いておらず、防炎物品か否かの判別ができない。【防炎規制】
  • お店の内装を変更して部屋を区切った結果で、自動火災報知設備の感知器を増設しないといけないんじゃないの?【感知区域】

などなど。

是正が必要なら、関係者を動かさなければならないし、お金と時間のかかる話しです。消防手続きをするにあたっての前提として、「円滑な飲食店開業」という大きな課題があるので、この課題を脅かす要因になるかもしれない事柄に、私は神経を使ってしまう訳です。

火災はビル全体の問題であり、防火管理は、ひとつのテナントだけが頑張ってもダメで、他所のテナントもビル所有者も一体となって取り組まなくては実現しません。私が直接担当するテナント様は、私の話しを聞き入れてくださいますが、他所のテナント様やビル所有者様は、防火管理に関心がない場合もあり、「難しいなぁ」と感じることもあります。

最後に、「これぞ、こぼれ話し」というのを紹介します。
消防検査で消防署の方が飲食店経営者に問いました。
「天ぷら鍋に火が着いて、自動火災報知設備が作動した。さて、貴方がやるべきことは何か?」
答えは「電話で119番通報する」です。自動火災報知設備は、消防署につながっている訳ではなく、自分で119番に電話しなければならない、という教えです。消防署の方がわざわざ話題にしたくらいなので、「一般的に知られていない」ということだろうと思います。

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個人名で取った許可は、その人が社長であっても会社の許可ではない、という話し

結構しばしばある間違いに、社長個人名義と会社(法人)名義を同一視している、というのがあります。

たとえば、こんな会話です。

個人事業のお客様:建設業許可が取れたら、さらなる飛躍のために会社(法人)を設立することを考えています。

私:でしたら建設業許可を取る前に会社設立をしましょう。

個人事業のお客様:えっ!?とりあえず建設業許可が欲しいです。建設業許可さえあれば、直ぐにでも大きい仕事を受注できそうだからです。

このブログをお読みいただいている方に、状況を少し説明します。

このお客様は個人事業で建設業を営んでいて、個人事業主としての個人の名前で建設業許可を申請しようとしています。建設業許可が取れれば業績も伸びるだろうから、許可を取った後は個人事業を止めて、法人として大きくやりたい、と言い出した場面です。

会話は続きます。

私:法人で建設業許可を取り直す必要があります。

お客様:ん?私が今許可を取って、私が社長になります。ダメなのでしょうか?

タイトルにあるとおり個人名で取った許可は、その人が社長であっても会社の許可ではないのです。個人事業主が個人の名前で取得した許可は個人事業主のものであり、その個人事業主が設立した法人であるからといって、法人が許可を持っていることにはなりません。法人は法人の名前で建設業許可を取り直す必要があります。

同じパターンですが、もう一つ紹介します。

風俗営業を営むお客様です。

開業して暫くは個人事業主として頑張って、経営が軌道に乗ったら法人化する計画が当初からあったそうです。このことは税理士さんにも相談してあり「法人成り」という説明を受けていたようです。

私:法人で風俗営業許可を取り直す必要があります。

お客様:えっ!?許可を取り直す間、営業できないじゃない!!

個人事業主名義の風俗営業許可は、あくまでも個人事業主のものであり、この個人事業主が設立した法人であっても、その法人が風俗営業許可を持っていることにはなりません。

このような間違いを防ぐために、許可・届出・登録などが必要な業種の方は、税理士さんや経営コンサルタントさんに相談に行く前か、または同時に、行政書士にもご相談ください。行政書士に相談していなかったために、上述の許可名義の問題以外にも、いろいろな問題が発生しています。

お客様が同業の仲間同士で許可・届出・登録について情報交換している場合もありますが、一般論としては正しい情報でも、個別の事情を抱えるお客様に適合する情報である保証はありません。ぜひ、行政書士にご相談ください。

最後になりますが、許可に関することで、ある経営者さんが私に向かって呟きました。

俺、スタートから間違ってたのかぁ。はぁ~(ため息)。

今回は以上です。

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風営店におけるスライダックス(調光器)の話し

風俗営業許可を取得していた風営店が撤退し、居抜きで次の風営店が入居しようとすると、そこにスライダックス(調光器)が設置されていることがあります。

風営法を筆頭とする法令等の規定により、クラブなどの接待のある飲食店では「スライダックスは不可」とされています。
この「スライダックスは不可」という情報は、インターネット上に多数流れていますから、風営店を経営する方には知られていることだと思います。
インターネットだけでなく、風営店を新規開店するときに行政書士からも警察からも「スライダックスは不可」と言われていると思います。

さて、撤退したお店が風俗営業許可を得ていたということは、許可を受けたその時点ではスライダックスがなかったことを意味します。したがって、許可を受けた後にスライダックスを設置したことになります。

ここで疑問です。「スライダックス(調光器)は不可」が分かっていて、なぜスライダックスを設置するのでしょうか?

風営店の店舗を扱う不動産屋さんが「カラオケの時の照明演出のために、店舗内の照明を落としたいのでは?」と言うを聞いたことがあります。カラオケの照明演出として、呼び名はいくつかあると思いますが「ステージライト」「ディスコライト」などレーザー光を出す照明器具があり、そのレーザー光を綺麗に見せるために店舗内の照明を落としたい、ということのようです。なるほど、一理あるように思います。その一方で、店舗内の照明を全く落とさずに、カラオケの照明演出をしている風営店も存在しているので、他に理由があるのではないか、とも思っていました。

ある時、風俗営業許可の申請者本人と一緒に警察に風俗営業許可証を受け取りにいく機会がありました。警察の担当官から申請者本人に「スライダックスは設置したらダメですよ」と注意があります。担当官が「お客さんが『明るすぎる』とクレームすると、経営者がスライダックスを設置することが多いですから」と続けました。

これを聞いて、これまでの疑問が解けました。とても納得のいく理由でありました。

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消防訓練の話し

今回は消防訓練と、その思い出について書いてみます。

風俗営業店を含む飲食店などの開業に付随して、消防手続きに関わることがあります。

その飲食店が入居する建物が一定以上の規模である場合には、防火管理者を選任して、消防計画を作成します。
その消防計画に基づき、今回のテーマである「消防訓練」を行います。

さて、「消防訓練」と聞くと、思い出すことがあります。私が会社員時代の消防訓練のことです。

その当時は防火管理者という言葉も知らなかったのですが、会社には防火管理者がいたはずで、今思い返せば、そのような話しを聞いていたよう思います。

社員は「防火管理に係る消防計画」に従って通報・連絡・初期消火・避難誘導などの役割を割り当てられていました。
私は、初期消火の担当でした。
ビル全体の消防訓練の日、訓練会場に行くと、すでに延ばされたホースがあり、参加者が代わる代わるノズルを持ち、水圧の体験をしました。

と、まあ、これで消防訓練は終わりで、私は漠然と「あのホースはどこから来たのだろうか?」と思ったものです。

変なことを言っていると思われるかもしれませんが、私は初期消火の担当だったのに、ビルの中にある消火栓設備の扉を開けると、ホース、ノズル、バルブがあることを知らなかった訳です。

おそらく、防火管理者やビル管理者以外の一般の訓練参加者は、誰も屋内消火栓設備の扉の中を知らなかっただろうと思います。

平常時は、むやみに触ってはいけない消防設備なので、誰も中を見たことがないのも当然といえば当然です。

また、屋内消火栓には、ひとりでも操作可能な2号消火栓と、原則2人で操作しなければならない1号消火栓があるのですが、当然そんなことも教えられていません。

このような訓練の状況でしたので、火災が起きなくて本当に良かったと思います。

話しを今に戻して。

先日、弊事務所が入居しているビルで消防訓練がありました。訓練では消火器の使い方を実地に確認しました。
消防署員の方からは「消火器の設置場所を確認しておくように」とのアドバイスがありましたので、さっそく確認しておきました。

消防訓練に関しての話は以上です。

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