建設業者さんの収益認識基準の話し

建設業を営む方の決算書で、行政書士である私が困ってしまうケースの話しです。それは収益認識基準に関することです。

ゼネコンや中規模以上の建設会社さんは別として、比較的小規模な建設業者さんの請負契約の収益認識基準(=売上計上するタイミングの基準)は工事完成基準しかないと思うのですが。。。

どう見ても工事完成基準ではない建設業者さんが存在しています。工事完成基準ではないなら、工事進行基準や部分完成基準なのか?といえば、それも違うようです。

事情を説明します。

建設業許可申請なり事業年度終了届なり、弊所にご依頼いただいた建設業を営む方からは、次の2つの資料を提供していただいています。

  1. 工事実績
  2. 決算書(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・注記表)

そして、可能ならば第3の資料として、もう1つ資料をお願いしています。

  1. 総勘定元帳

さて、大抵の場合、項1「工事実績」資料には、会計期間末日(=決算日)時点において、数件の未成工事(=仕掛中の工事)が存在します。

未成工事が存在していた場合、次に私の意識が何処に向くかといえば、貸借対照表の未成工事支出金(=仕掛品)と未成工事受入金(=前受金)の科目です。

未成工事支出金(=仕掛品)の科目に金額があれば、「なるほど」と納得します。金額がないと、幾つかのポイントを見ていくことになります。たとえば、一人会社で会社が社長に対して支払う金銭が役員報酬のみである場合は、役員報酬は期間費用ですから、材料費や外注費の問題は残るけれども、未成工事支出金の金額がなくても「まあ、妥当かもしれない」と一旦は考えます。その後は、完成工事原価の科目を見ていくことになります。

未成工事受入金(=前受金)の科目に関しては、金額があれば「前受けがあったのね」と納得しますし、金額がなくても「前受けはなかったのか」と一旦は理解します。

さてさて、総勘定元帳の提供を受けている場合です。この時点で未成工事に疑問がある場合は、真っ先に見るページがあります。

総勘定元帳の完成工事高(=売上)の科目のページです。工事実績で未成工事(=仕掛中)とされている工事が完成工事高(=売上)計上されていないか、一行一行見ていきます。

そして、未成工事なのに完成工事高(=売上)計上されている行を見つけてしまうことになります。

この工事の契約書を取り寄せます。そこには「出来高による毎月請求」という支払条件が記載されています(工事の性格から言って、出来た部分の引渡しはありません)。この「毎月請求」が直ちに完成工事高(=売上)計上されている訳です。

まとめます。

請負契約による工事について、完成工事高(=売上)計上のタイミングは、原則的に工事が完成したときです。工事が完成するまでの間の入金は未成工事受入金(=前受金)として処理します。そして、決算日までに発生している原価は、未成工事支出金(=仕掛品)にします。未成工事受入金(=前受金)も未成工事支出金(=仕掛品)も決算日時点の貸借対照表に記載して、工事の完成の日まで繰り越し、工事が完成したときに完成工事高(=売上)と完成工事原価(=売上原価)にそれぞれ振替ます。

蛇足的ですが。。。
このエントリのタイトルにも出てくる「収益認識機基準(=売上計上するタイミングの基準)には、工事完成基準の他に、工事進行基準や部分完成基準というのがあります。工事進行基準は長大工事(工期が長く、金額も大きい)で採用される基準です。部分完成基準というのは、たとえば同一規格の戸建て3棟を1棟ずつ完成させ引渡しを行い、引渡した1棟ごとに売上計上するような場合をいいます。

最後に毎度の宣伝です。建設業許可に関することなら弊事務所にご依頼ください。上述のような困った事態にも適切に対応いたします。すぐに面談日を電話予約してください。

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